Vol.32
栄枯盛衰工房事情!
買ったよ、バレンタインピン! 東京、横浜、大阪の3都市からは、1年数ヶ月ぶりにギフトクリエーションズ(以下GCI)製のイベントピンが復活しましたな。 個人的にGCIのピンが好きな私は大喜びです。 昨年1年間のピンは、細かいデザインと作りがしっかりしているという事でほとんどがピンクラフト製でしたが、世界中で採用されているこの大きな勢力に飲み込まれず、エナメル加工のキレイなメーカーで発売してくれた日本のHRCに感謝いたします。
(もうちょっと小さかったら、もっとカワイかったかね)
ところで、この3都市のバレンタインピンを買った人、ピンの裏側は見ましたか? そう、なんとGridBackだったよね。 そして、セントパトリクスにチェリーブラッサム、イースターのピンと、GCIのピンにはこのバックパターンが続きました。 これまでに発売された日本のピンで確認してみると、GCIは95年夏の限定ピンを最後にGridBackの採用を終了、ハロ ウィーンピン(東京・大阪)以降はずーっとH.R.ロゴの裏デザインだったので、今回のレトロな雰囲気が漂うこのピンの復活、オレの他にも嬉しく思っている人はいるハズだ! アンタ、通!
(息の長いシティピンは、表のマイナーチェンジもチェックしたい!)
おっと、GridBackの復活を喜ぶコレクターを“通である”と私が(個人的に)言い切るワケをココで説明しときましょ。 私は大阪やユニバーサル店で発売されたウェイトレスピン(PIN−CRAFT社製)のように、“裏が同じで色違い”というピンが発売されれば、素直にコレクションが1つ増える事に喜びを感じます。 コレに対してGCIのGridBackには、こちらのページをご覧頂ければおわかりの通り、実に様々なバリエーションが存在する事から、自己満足を満たす事のできる研究テーマを見出せるのです。 もちろんイベントピンというのは、通常たった1回のロットしか作られないので、よほどの例外じゃない限り裏違いが作られる事はありません。 レギュラー発売となった大阪と上野駅店のホットロッドピンも、このGridBackだったという点に着目してみると、もし第1回発注分が売り切れたのち、このピンを日本のシティピンとして定着させたいという考えが日本のHRCにあるならば、セカンドロットには“デザイン同じで裏違い”というピンが作られる可能性も推測でき、ごく一部のコレクターが求めるディープな世界の復活を予感させるという事なのです。そう、研究する余地のあるピンには夢中になれる! そのピンが誕生した経緯やその時期の状況、まさしくピンの“裏”に隠された見えないサブストーリーを読むのが楽しいのだよ。 ズバリ、マニアはウンチクが好きである!
(限定ピンなのに、2種類の裏違いが存在するHRC東京11周年ピン)
さて、このGridBack。 何ゆえ7年の時を隔てて、このタイプが突然復活したのだろうか? せっかくロゴスピを書くのなら、毎回何かしらの調査結果を報告したいのですが、オレ1人で全てをカバーする事はできないので、こういう場合はやっぱり埼玉県在住の“あの男”に登場してもらいましょ。 普段はジッポーライターや何故か国道の研究をしている埼ババ様(前ウンチク大王B)が、2年前にネバダ州で行ったリサーチの結果を早速ご報告いたします。
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現在ほとんどのHRCがPIN−PALS、PIN−CONCEPT、PIN−USA、PIN−CRAFTといった新規参入メーカーにピンの製作を依頼するようになった中で、HRCストックホルム やラスベガスのHRH(ハードロックホテル)は、現在もなおGCI社製のイベントピンを発売し続けている貴重な店舗である。 コーポレートの直営店であるHRCストックホルムが何故、GCIのピンを作り続けているのかはわからないが、おそらくMCDマネージャーのD氏というのが、GCIのファンなのかもしれない。 2年前のPINDEXでは、メーカーの社長とホテルのイベント主催者がとても親しそうに話をしていたが、こちらのケースは、イベントの主催者から直接「GCIのピンが好きだ!」というコメントをとっている。
今から7年前、非公認や無許可の店舗についての措置を検討していたHRCインターナショナルグループは、オフィシャルとしての正当な権利を主張し、ピンの裏デザインにH.R.ロゴのデザインを採用する事を決定したのだが、HRHとの話し合いでは合意を得られなかったという噂がある。 それまでは世界中のHRCピンに使われていたGridBack、コレを期にHRH以外のピンは、イベントモノをはじめ、レギュラー発売のシティギターに至るまで、そのほとんどの裏パターンはH.R.ロゴタイプに移行された。 新しいピンのメーカーなどおよそ考えられなかった当時は、当たり前のようにGCIのこのタイプが日本のイベントピンにも使われていたのだが、ココで世界一のコレクターやPIN−PALS関係者らによってPIN−CRAFTというメーカーが設立され、3年前に満を持してHRCのピン市場に参入する事になる。 あっという間にその勢力を拡大し、PIN−USAとあわせて、現在おそらく60%以上のシェアは確保しているであろうこの新勢力の脅威もあり、限定モノのみならずレギュラー発売のピンまで 、そのほとんどをGCIに発注するラスベガスのホテルは、GCI最大の顧客となったのかもしれない。
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ロゴ: 「ふーん、そうなんだ。 それじゃ日本のピンがGridBackに戻ったのには特別な理由があるワケじゃなく、ここ数年はホテルのピンをメインに作っていたピンのメーカーが、今回たまたま日本のピンにも、同じ裏のデザインを使っちゃっただけなのかもしれないね。 メーカーの人たちってラスベガスのイベントにも来るみたいだから、ちょっと聞いてみようかな?」
埼ババ様: 「そう、いいトコロに気がついたね。 でもねロゴ君、ピンのメーカーだって、長い事使っていなかったH.R.ロゴの型をわざわざ倉庫から引っ張りだしてくるのは面倒くさいかもしれないし、ロゴ君もGridBackが好きなら余計な事を言わずに、今までどおりGridBackのピンを買いながら、これからも楽しく研究を続けていけばいいんじゃないのかな?」
ロゴ: 「わかりました、埼ババ様。 それじゃ、ぬいぐるみメーカーのヘリントンが、何故か99年のハロウィーンベアピンのみにGCIと同じEyeballBackの裏パターンを採用していた理由なんかも聞かない方がいいかしら?」
埼ババ様: 「そうだよロゴ君、よくわかってくれたね。 コレはオトナのビジネスの話、もしかしたら私たち日本人には想像もできない深い事情があるかもしれないから、子供のクセにそういう小生意気なツッコミはしないほうがカワイイよ♪」
ロゴ: 「わかったから、その“ロゴ君”って言うのヤメて・・・。」
(○HK教育)
最近は半年に1度くらいのペースで、日本のレギュラーピンの裏もしっかりチェックしているコレクターも増えてきているらしいね。 今年もラスベガスのハードロックホテルでは、9月の3〜5日(3日は前夜祭)に世界最大級のイベント“PINDEX”が予定されています。 ピンに関してウラのウラまで知りつくせるこのチャンス、皆さんにもぜひ、あの感動を体験して頂きたい。 そしてこの秋、遂に貴方も世界デビュー(笑)! オンラインでの予約開始は5月22日、私はもちろん、昨年イベントデビューしたF大先生も行きますよ。 さあ、今年こそ海外のピンイベントに参加して、ザルを使ったスケールのでかいトレードをしてみませんか(笑)?
とりあえず世界全都市1種類ずつのロゴを手に入れ、(ロゴピンのページを作ろう!)と思いたった98年12月、私のロゴピンコレクションは240種類ほどだった。 昨年手に入れたロサンゼルスのプロトタイプ、スペルミスのYOKOHOMA、都市名無しのスモール、製作途中の金型、そして今は亡き世界一のコレクターから譲ってもらったスタッフ用の非売品なども、当時はその存在すら知る由もなかったのだ。 いったい何種類のロゴピンが存在するのかもわからずに、ただひたすら1つでも多くのバリエーションを求め続けたネット生活 。 確実にゴールは近くなっているハズなのだが、極めようとすればするほど未知なるロゴピンの存在が明らかになる。 数知れぬ裏のバリエーションは、あたかも歴史の長いメーカーのみに許された、コレクターたちへの挑戦のようだ。 そして、1番シンプルなロゴピンのコレクションにこそ、イベントピンとは比べモノにならないほどの奥の深さがあるのだと確信するに至る。
ホームページのタイトルに決めた「LOGOHOLIC」という造語、いつしか私のハンドルネームになっていた。 「ロゴ」と「ホリック」の組み合わせだけで、はたして「オレはロゴピンが好きなのだ!」という事を世界中のコレクターたちにアピールできるのだろうかという不安もあった。 アレから4年、「ロゴリゲス」という、ロゴホリックのもう1つの人格までCiERA.NET管理人により生み出され、自分自身のアイデンティティも定まった今、1人のロゴピンコレクターとして、海外のみならず日本にも増えてきたロゴを愛する多くのライバルたちと、競りあい、かつ楽しみながら、オレはあらためてこのジャンルを、いつしか究極と呼べるまで研究し続けていきたいと心に誓うのだ。
今日は眠いので、続きはまたのちほど(最近は江川にもマネされている♪)。